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Vanilla Ice「present」 3


(Changmin)









「はい…手」


少し前を歩くユノが
僕を見る事なく左手を差し出す。


「……え、でも人いっぱ…」

「はい」


周りの視線が気になって目を泳がせた僕に
ユノはやっぱり振り返らないまま手を揺らしたから
僕はその手をそっと掴んだ。

途端にぎゅっと握り返されると
歩みを速めた体に引っ張られる。

どこに行くかも言わず
ただ街中を歩くから
僕は堪えきれず手を引き返してその背中を見つめた。



「…ユノ…ごめんなさい」

「お。自覚あるんだ?」

返事はしてくれるのに振り返ってくれない事に僕は唇を噛み締める。

「ドンへに注意された…」


そう言ったら少し上を見上げ
ユノはふうって空に息を吐き出した。



「やっぱりドンへなんだなぁ。お前ドンへばっか。……ドンへの方が良いんじゃないの?………なんてな…」

「ちがっ…」

慌てて歩み寄りその横顔を見て
僕は言葉が続かなかった。

俯きがちなユノは
眇めた瞳が揺れて
笑っているのに……違う。



「…ユノっごめん、あのね…」

「ああ…いいよ分かってるって。意地悪した…ごめんな。……ほら、そんな顔すんな」



そんな顔って…

僕の言葉にやっとこちらを見て
苦笑しながら頭を撫でてくれる。

その顔は優しい眼差しで
僕と目が合うときゅっと細まる。



「ユノっ」






僕はユノになにしてんだろう。


最低じゃんか。



「…ごめんなさい」


唇を噛み締めたら目が潤みかけて奥歯に力を込める。


泣き虫の自分は本当に嫌だ。

こんな時にさえ。

絶対

泣くのはおかしい。
僕は狡い。




…もうさ。

僕には色んなものがまだまだ足りないのを痛感する。




……いや


そんなんじゃなくて。



僕は



相変わらず自分の事を考えてばかり。





ユノに喜んで貰いたくてしていた筈が


「…ユノ…ごめん…」


ユノに喜んで貰って満足する自分を欲しているんだ。

ユノの事なんか考えてない。


「……ごめんなさ…」



謝る事しか言葉が浮かばなくて
もう一度言いかけた言葉は
頭をポンと叩かれ遮られた。



「終わり」



驚いた僕にユノが笑いかける。




「……こういうのはさ……今度から俺だけに甘えて?……なんちゃって…」


自分で言ってから照れたのか
鼻を擦って声を上げて笑うと
また僕の手を引いて歩き出した。




「………………うん……そうする」


僕は頷きその手を握り返す。





こんな人に出会えて
僕は本当に幸せ。


熱く震えた息をゆっくりと吐き出す。


安堵感と幸福感と
申し訳なさと。


これからもこの手を離さないように
この笑顔をいつまでも見ていられるように

僕は。

一瞬目を閉じて
この決意を噛みしめる。




「ユノ…」
「ん?」
「あのね……僕…ユノとバレンタインを過ごしたくて…」
「ほんと?ありがとうっ嬉しい」
「だけど…何あげていいのか決まらなくて…チョコ?他のもの?何か食べたいものとかある?」

「……」
「……?」

そこまで口にしたらユノが立ち止まったのに気がついた。


「……ユノ?」

瞳を僅かに泳がせたユノは
急に我に返ったように口元に手を当てて息をつくとまた歩き出した。

「ユノ?どうしたの?」
「………………ドンへはなんて言った?」
「ドンへ?さっきの?さっきのは結局ユノが来たから…僕があげるのならなんでもいいんじゃない?って、細かくは…」
「ああ…そうか…」

そう呟いてユノは僕を見ると一旦唇を噛み締めた。

「……?」

「……あのさ…なんでもいい?チョコじゃなくても…」
「なんでも?……僕に出来るのなら…凝ったお菓子とかは無…」
「お前を…リボンつけて頂戴って言ったら…」
「うん、がっつり蹴る。却下」

「…だよなぁ…残念」
「僕もここが外で蹴りがかませないのが残念だよ」


項垂れるユノの横で鼻を鳴らして
「ユノ…なにそれ…」
それから吹き出してしまった。



「ユノっちゃんと考えてよっやだなぁっ」
「なんで?男の夢だよこれ」

そう言ってからユノが目を細めて僕の肩に手を回してくる。

「いつかしてもらえるように俺頑張るからさ」
「ああもう…何の頑張り?!バカじゃないの」

ため息と共に
睨みつけた目が合った途端
ユノが口の端を引き上げた。

「じゃあ、なんでもいいなら凄い我儘言っていい?一日一緒に過ごして。二次試験前だから部屋でいいから映画観てゲームして俺と遊んで。一日中お前が笑った顔がずっと見られればそれだけでいい。こんな時期のお前の丸一日を独占できたら俺の最高のバレンタインだよ」



「……」



言葉が出ずに
顔が急激に熱を帯びるのが分かる。


ユノがズルい。


こうやって。
いつもカッコいいこと言うんだ。


ほんと。

ズルい。



もうさ。



「ねぇユノ」

僕は熱が冷めない頬を頑張って引き上げ笑顔を作り、ユノを小さく手招きして顔を近づけさせた。


カッコいいこと言って僕を驚かせるユノに
僕がそれ以上のカッコいいことを言える日は来るのかな。


悔しいなぁ。


「じゃあしょうがないから…」

「…ん?」


……驚かすことぐらいは出来るし。

僕は笑みに歪んだ唇を軽く噛んだ。



「望み通りリボンぐらいはしてあげるよ」


「…!?」



立ち止まり口が開いたユノを横目に見て
僕はもう顔を見れずに歩き出した。


かっこいいことなんて言えないから。

ちょっと仕返し。
驚いた?


でも凄い顔してたな
言い方変だったかな。



自分で言ったくせに無性に恥ずかしさが身体中を駆け巡り、唇を噛み締めたらユノが早足で横に並んで耳元に顔を寄せてきた。


「ね…ねっねぇっ。それっ、それって裸にリボンであ…あってる?あってるの?!」





……せっかくカッコよかったのに。





「うるさいっ確認するな!ユノっ色々台無しっ」

「ぃっだっ」

周りの人たちが振り返るのも気にせず
僕はユノの脹脛に思いっきり蹴りを入れた。


それから体を折るユノを確認してからまた歩き出す。




だけど僕は不安も心配もなく

クスクスと幸せを噛み締めて。


後ろから走ってくるユノの気配を感じ
気持ちが悪いぐらいの笑みを俯いて誤魔化すんだ。





そして

当日どうだったかは



誰にも言えない
二人だけの秘密。













Fin

---------------------------------
久々バニラアイス。いかがでしたか?
どこかちょっとでも楽しんで頂けたら嬉しいです( *´艸`)

ここまでお付き合いありがとうございました♡

それでは、またいつかそのうち。



読んでもらえて幸せヾ(≧▽≦)ノありがとうございます♪
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- 10 Comments

723621mam  

No title

リボンは・・・ど、、、どこに?
ああ、、、、、

2018/02/14 (Wed) 21:14 | REPLY |   

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2018/02/14 (Wed) 22:32 | REPLY |   

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2018/02/14 (Wed) 23:56 | REPLY |   

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2018/02/15 (Thu) 16:36 | REPLY |   

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2018/02/15 (Thu) 18:19 | REPLY |   

kurokurozuzu  

あーほんとにバニラの二人が大好きで、萌え転がります✨
なんて素敵な二人でしょう。
突然のしあわせをくださり、ありがとうございました😊ずっと応援してます!

2018/02/15 (Thu) 19:53 | REPLY |   

yourin  

バニラありがとうございました♪
高校生のかわいい二人でしたね(#^.^#)
くるりんさんが描くユノさんは優しくて男前で大好きです♪なかでもバニラのユノさんは一番でホントに男前!(*≧∀≦*)
次回もどんなお話か(バニラ以外でも)楽しみにしてます♪♪

2018/02/15 (Thu) 21:01 | REPLY |   

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2018/02/16 (Fri) 22:56 | REPLY |   

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2018/02/20 (Tue) 08:03 | REPLY |   

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2018/02/23 (Fri) 20:48 | REPLY |   

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