All Mine 「酔いの代償」 7

(Yunho)








「今日はあんまり酔ってないのな」

「だってかなり食べてますから。でも酔ってますよ」


一本吸い終わって灰皿にタバコ押しつけながら聞くと、チャンミンはしらっと回鍋肉を口にして言った。

「ああ…まぁ…ね」

昔から食べる子だったけど、ここまでで何品だ?
ビールもかなりの数。もう水代わりだろ。
でも、嫌々じゃなく自分から料理の注文にいっているから、この店を気に入ってくれたみたいでホッとした。




チャンミンから遅れる電話が来たのが待ち合わせ2時間前。
この時間に電話が来るなんてやっぱり嫌になったのかと肩を落とし電話に出たら、謝る声が聞こえた。

ただの飲みの約束。

側から見ればそうなんだけれど、まさに揺蕩うという言葉が似合う関係の俺たちの約束。

行けなくなりました。と言う言葉ではなく
待ち合わせ時間に間に合いそうもない。遅くしてもいいですか?と言う言葉。

かなり浮かれた。


向こうの仕事途中の修羅場な空気に了解だけ返して電話を切ってから、さてどうしようかとスマホを開いた時、待ち合わせ場所近くでよく行っている美味い中華料理のお店を思い出した。

絶対味はいい。だけどなかなかな佇まい。
前回の小洒落たお店に連れて行ってくれたチャンミンの今現在の趣味嗜好が分からなかったから、席について笑顔を見せてくれた時にホッと胸を撫で下ろしたんだ。


まぁ…まさかここまで気に入ってくれるとは思わなかったけれど。




「美味い?」
「うまいです」

そう返す時の笑顔が好きで何度も聞いてしまう。
これだけ聞いて嫌がりもせずに返事をするのは、多少酔っているのだろうなと思うけれど。
どの道可愛い酔い方をするんだな、チャンミンは。






そういえば

離れてから結構経つ。
チャンミンがそう口にした。

こんな事を言うようになったんだと驚いたから印象に残っていて
その長さが俺の喫煙年数だってお陰で気がついた。

……お前の所為。

って言ったらどんな顔をするのだろうと思ったけれど、あのことに触れた瞬間もうこんな時間は終わりだろうって分かっていたから、口にはしない。


「ユノ、酔ってるでしょ?」

不意に前から声がかかって、チャンミンに焦点が戻った。

「…え…」

口を開け気味に返事をしたら、チャンミンはあと一口残っていた焼豚を口に入れて、あいた皿を隅に重ねた。

「なんか宙見てニヤニヤしてますよ」
「え…」
「大丈夫ですか?なんか見えます?妖精とか」
「馬鹿にしてるだろ。違うよ…」
「違う?何が?」

新たに来たビールに口をつけて丸くなる目に俺は笑い返した。


「お前とこうやって向き合ってご飯を食べ話すことが出来る。最高だよ。俺はね」

俺はねって、わざと付け加えた。

俺は嬉しい。
本当に。

でも同意は求めない。


あくまで会って貰ってる。

その方がなんだか楽。



前回からどういった心境の変化があったのか分からないけれど。


こうやって会えた事は
少なからずこの先を夢見ていいのだろうか。

逆に希望を持ってしまうと
そうじゃ無くなった時を想像して怖くもなる。


色々聞きたい事はあるけれど。


ある意味、理由なく
揺蕩う雲のように形作られているこの関係は、弱い風一つで形を変えてしまうことがわかるから。


今はこれが精一杯な言葉。

これだって恐々
おっかなびっくり
内心ヒヤヒヤしながら

酒が入っているというシチュエーションを味方に
茶化すような声色で本心を口にしているんだ。


俺の感情はあの頃で止まったままだけれど。
チャンミンにどうかと問いただす勇気もなく。







「………駄目だって分かっているんですけどねぇ…僕も…」


不意にチャンミンがビールの泡を眺め
それだけ言った。



「……」



駄目って。



どう繋げようか。

そんな言葉。


関係も気持ちも揺らぐ俺には
咄嗟に返すことができなくて。




どう言って欲しい?




言って欲しいのかな。



何か声にするのも怖い。





俺は手元にあったライターを手の中で転がし

何も思い浮かばなくて


一歩踏み出そうか散々悩んで


臆病なまま





「…ぁ…杏仁豆腐もあるんだ…注文してもいいですか?」


メニューを手にこちらを見たチャンミンに頷き

「俺も食べる。凄くうまいよ」って笑顔を作り

近くの客が席を立つ騒がしさに突かれたように、いつもは吸わない二本目を箱から抜いた。
















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ありがとうございますヾ(≧▽≦)ノ
ドキドキしながら出さなくて済みます(笑)

明日で最後。
最後はちゃんと笑顔ですよー(*´ω`*)
こんな微妙なやりとりをする二人をラストまで楽しんで貰えたら幸せ。
チャンミンside。
お暇なときに来てください♡



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