All Mine「Dawn Glow」 6


(Yunho)









ウトウトと何度か微睡みを繰り返して夜が明けてしまった。

布団に横になったのが深夜も深夜だったから、朝のことを考えたら起きられるのか緊張して眠れなかったのもある。

だけどなにより今俺がいる現状に落ち着けなかったのが一番で。

眠りが浅くなると聞こえてくる寝息に目が覚めて、当たり前だけれど自分がチャンミンの部屋にいて、側に本人が寝ているのが信じられず起き上がって見てしまったほどだ。

同じ部屋で寝るなんて、あれから何年経つのか。
あの頃は同じ布団の中にいたけれど。

ベッドのすぐ横に引いてくれた布団からは、チャンミンの少しはみ出してきている手と上下する胸や鼻先が見える。

まさかこんな日が再び来るなんて、あの時の俺、いや昨日の俺だって想像すらしていなかった。




スマホを見たら起床時間にはまだかなりあったけれど、二度寝も怖いから諦めて起き上がった。



「……ぅ…」



…体おもっ。



身体中の水分が膨張して重力に逆らえない程の抵抗と怠さが襲ってくる。
酒飲んでラーメン食って中途半端な睡眠3時間ぐらいとくれば当たり前か。

でもテンションはあまり悪くない。
寝る前の楽しかった感覚はまだ続いていた。



立ち上がって大きく伸びをしたら
あまり遮光が効いていないカーテンから抑えきれないほどの朝日が入ってくる。
東向きだと言っていたけれど本当だ。
そんな光をものともせずに布団を蹴り気味のチャンミンは口を開けて寝ていた。

そのあどけない表情にふっと笑いがこみ上げる。

あの頃と変わってないな。
爆睡で寝相の悪い。


昔よくふざけ半分本気半分で言っていたことが浮かぶ。

俺の可愛いチャンミナ。


……なんて、今言ったら速攻関係が終わるかな。
可愛いって軽く言ったらアレだもん。
揶揄うのも細心の注意が必要だ。

そんなことを言いながらちょっと楽しみ始めてる自分に気づき、溜息をつくと頭を掻きながら洗面所に向かった。





顔を洗って
そういえば髭剃りなんて思ったら、横に並んだ洗濯機の上にシェービングと一緒にちゃんと用意されていて、流石だなと感嘆の息を漏らして手に取った。
明らかに寝不足のむくれた顔に剃刀を当て無心に剃っていたけれど、流した泡の先にある洗面台に目がいって、少し胸が疼いた。


ローションなんて、久々目にした。
俺は男はチャンミンだけだったから、そのあと手にすることもなく。
この家にあるということは、チャンミンは俺と別れた後もどこかの男と付き合っているのか。

でも昨日「ずっといない」って言った。

見栄を張って「いる」と答えるのなら分かるけれど、いないって言ったんだ。
以前はいると言っていて。


「……分かんね」


ハァと息を落として顔を洗いタオルで拭きながら頭をあげたら、寝返りを打ったのか布団をバタバタと足で追いやる音が聞こえる。




……でもあんなモノを見つけてしまったらさ。


曇った間抜けな顔が鏡に映ったから首を振ってその場を離れ、椅子に掛けておいたシャツに手を伸ばした。


……俺はどうしたいか、なんて。


シャツを羽織りズボンを履き、暫し止まって天井を見上げ
何かを吹っ切るように息を吐き出した。


そもそも
あの飲み屋の前で見つけた時に決まってしまっていたんだよな。




ネクタイを締め
時計を確認したら40分程余裕がある。
ああそうだ、布団を片付けなきゃと思い出して隣の部屋まで戻った。

さっきよりもかなり明るくなった部屋の壁際で、チャンミンは布団を蹴ってこちらに背中を向け丸まっていた。

起こすなと言われたから静かに出て行くつもりだったけれど
最後にとその部屋の光景を眺めいた俺は
口元に自然と笑みが零れてきてしまう。



「……はぁ…」



こんな静かな朝。

思い出しちゃうじゃんか
屋根をつたい何度も起こしに行った頃を。

何の迷いもなく
ただ幸せで楽しかっんだ。


なんか
迷っているのが馬鹿らしくなってしまうほど
この空間は明るくて燻った影もない。



こんなとこで突っ立っていると
やっぱりさぁって思う。


なぁ
チャンミナ

ダメなのかなぁ。


今聞いたらかなりな確率で答えはNOなんだよな?

なんで?
ほんとは恋人はいないんじゃないの?

俺のこと嫌いじゃないよね?

じゃあどうしてそんな空気を纏うんだよ。

本当はそこが一番知りたい。



そっと足を踏み出して近づくと
起きる気配もないチャンミンのベッドへゆっくりと腰を下ろした。


すうすうと規則正しく上下する肩。
大人になって少し変化したけれど、可愛い頬。
僅かに開く口。


そっと


手を伸ばし

指先で髪を触る。


ジワリと胸が熱くなる。


……好きだな。俺は。


あの時止まった想いはやっぱり変わらないって今強く思う。



俺が知りたいのは
洗面台の下のモノでも無くて
あの出来事の顛末でも無くて

俺と同じ想いを抱いていないのかなって事だ。


それだけなんだけれど。

それを聞くのが一番難しい。


そうあって欲しいけれど

あんまり期待が持てなくて
だけど
切り捨てられる事もなく
細い線一本繋がっているのを感じるから。

それを切ることはしたくないから。


「……ほんと…困ったなぁ…」



起きないことをいいことに
頭を一回、恐々撫でてみた。

ビクビクしながら、でも嬉しさに熱くなる。
どちらのせいなのか手も震える。

昔のように「俺のことかまえよ」って心の中で呟いて。


ふうーって緊張で震える息を吐いて
起きる気配が無かったから
もう一度、そっとそっと撫でた。


「じゃあな。ありがとう」


本当は顔を見て言いたかったけれど
ウザがられても嫌なので言いつけ通り今日は出て行くか。

いつかまたこんな時に受け入れて貰いたいからここ迄で我慢。



立ち上がって名残惜しく暫くその姿を眺めてから、俺はスーツのジャケットを取りにテーブルへ戻った。














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ここで終わりそうな勢いですが明日もユノside。
ユノさんちょっとやらかします( ̄▽ ̄)www



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2 Comments

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2018/05/19 (Sat) 00:08 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

ゆ*まさま

ユノは二つやらかします。
一つは靴穿きながら。もう一つはチャンミンに(笑)
両方玄関でね( *´艸`)

2018/05/19 (Sat) 15:33 | REPLY |   

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