KARUMONO 9


(Changmin)








隣の部屋でドアが開く音がして
誰かが歩いている。


ビニールの袋がガサガサと音を立てて置かれたのが分かって、ハッキリ目が覚めた。




……えっと。


部屋を見回して、思い出す。



……あいつのマンションだよな。





カーテンが受ける
抑えきれないほどの強い太陽の光を感じて


近くの時計に目を向けると

デジタルの数字はお昼を告げていた。




確か、昨日来た時はリビングのソファに座って

足の手当てをしてもらっているうちに……寝ちゃったんだ。






……あいつがベッドに寝かせてくれたのか?







………って?!






ふと、自分の体に目をやって声が出ない。




起き上がった上半身は裸で、下は下着一枚で、




変な熱さと汗が出てくる。







……あいつだよな?





あいつしかいないし


…………あいつ以外でも困る気がする。






……どうすんだよ。これ。





混乱した頭を抱えて溜息をついたら、僕のいる部屋のドアが勢いよく開いた。


ドアの向こうには昨日のオヌがいて、僕を見て冷めた顔をする。




「やっと起きたか?」

「ああっ、ちょっとっ」



慌てて掛け布団を手繰り寄せて
狼狽える気持ちを押し殺して睨みつけたら






「…………何…やってんだ?」




ボソリと言うと

僕の行動に少しだけ眉間に皺を作り
こちらに声をかけた後は口があいたままになった。







「なにも…別に…」


裸をみられて恥ずかしいっていうのが考えてみればおかしな話で、男に見られたってどうってこと無い筈なのに。

ただ、あんなキスされた奴に知らないうちに服を脱がされていたって事がプラスされると、妙な恥ずかしさが襲って来た。



もう……思い出したくも無いのに……。




オヌは顔が熱くなって何も言わなくなった僕を暫く黙ったまま眺めていたけれど、不意に何かを理解したのかベッドの横の扉を指差した。



「…ああ……そこに服が入っている。好きなの着て出てこい。…腹減っただろ?飯買ってきた」






……あれ?






その口調に
何か違和感を感じる。






昨日のこいつの態度と何か違う。





素っ気無い?

いや。違うか。


なんだろう………?







でも……。



それよりも。





確かに








……お腹減った。







ご飯があるって言われた途端胃が動く。



考えてみれば昨日の昼から何も食べていない僕は、お腹が空き過ぎて逆に気持ち悪いぐらいだ。



……なんか食べたい。

なんでもいいからお腹に入れたい。


本当はあいつの顔なんか見たくないけど。
空腹には全く勝てなかった。


「……せっかく買って来たんなら…食べます」



そう言ったら、オヌは鼻で笑って部屋を出ていったから
自分の言葉に情けなくて少しへこんでしまった。









気を取り直してベッドから降りると

少し痛みが残る足首を庇いながらクローゼットに近づいて行く。



……洋服ってなにがあんだ?

綺麗なの?



訝しみながら部屋の壁伝いにあるクローゼットのドアを開けた途端





「…え」


僕は声を漏らして目を見張ってしまった。








……これって、あいつの?



クローゼットの中には、少ないとは言えない数の洋服がハンガーにかかって並び、引き出しには細かく種類別に分けられた衣類がはいっていた。




あいつの……にしては


趣味が違う気がする。






でも。


じゃあ、この服は?




そこではっと気づいた。





誰か他に住んでんだ、ここ。


妙に腑に落ちて振り返ると、部屋の中を見回した。




そうだ

客用にしては、生活感がある。



……ってか。


逆に僕はこれ使っていいのか……?




それ程に
気づいてしまえば洋服だけじゃなくこの部屋の至る所から
今実際に使っているような色や匂い感じてきて
選ぶどころか触るのさえ躊躇ってしまう。





じゃあ…ここの住人が帰ってきたら、どうすんだよ。

まずいんじゃ…。








戸惑った気持ちで室内を見回すと
棚の上に置いてあったカレンダーが目に入った。





ちゃんと今月だよな。

やっぱりこの部屋は主がいる。




僕は確信しながらハガキサイズの小さなカレンダーを手に取ると、小さなマス目に書かれた文字を眺める。

……あれ?

今月の終わりの1日が目に止まった。




……ユノと旅行。


ユノ?



胸の奥がザワザワと痺れるような感覚に襲われていく。



ユノって…………あいつ?


何故かそんな気がする。




絶え間無く溢れて来る疑問と困惑に

僕はカレンダーをじっと見つめてしまった。





でも…あいつがいくらいいって言ったって、多分あいつのもんじゃないし。


どうしよう。

僕の服、何処だろう…。



ため息をついてクローゼットにかかっている服に目をやったら、急に足音が近づいて来て、ノックもなくドアが開いた。




「…何してる?」

「うわっ」


思わず声を上げて振り返ると男が眉を顰めて入口に立っていた。





「……いえ…あの…」
「なんだ?」

冷めた声に負けそうになりながらも
僕はクローゼットを指差してオヌを見た。



「……この服、あなたのですか?…違いますよね?ここに住んでいる他の人のじゃ…」

早口で言う僕の話に表情を全く変えないから、最後の方は自信が無くなって小声になっていってしまう。




だけどオヌは僕の言葉を最後迄聞くと、小さく頷いた。




「……ああ。でも今は訳あっていないから、どれを着ても構わない。綺麗だし多分サイズも平気な筈だ」


さらっと言う。




「え……でも」

「…問題無い」


言葉を切るように返ってきた。





でも…ここ

つい最近迄使っていたような空気を感じるのに。



……それに。



「……ユノ」


確認するようにカレンダーを見てから視線を上げると

案の定、僕の言葉に一瞬目を見開いた。




「……ユノってあなたの名前でしょ?」


重ねるように言った僕の言葉に


オヌはいったん瞳を伏せてから
もう一度僕を見直すと頷いた。



「そうだが…なんで分かった?」




「ここに……この部屋の方のカレンダーに…」


「カレンダー?」
「……あ…はい……これっ」


ユノが僕の手元に視線を向けながらこちらに近づいてくるから
僕は後退って目一杯腕を伸ばすとカレンダーを差し出した。







「……これか」




ユノは僕からカレンダーを受け取ると
書かれていた文字を見てポツリと呟いた。





「出かけるんじゃないんですか?」

「……」




僕がそう言った後

ユノはカレンダーに視線を落としたまま、暫く動かなかった。







……まずかった?



余計なことを言ってしまった感じがして
急激に後悔の波に襲われ
嫌な汗迄かいてくる。



なんて言えばいいんだよ。
とりあえず謝ってみるか…。



「……あの…」



僕がこの空気に耐えられなくなって狼狽え気味に声をかけたら
ユノはこちらへ顔をあげ、カレンダーを返してきた。




「……この部屋は今日からお前が好きに使えばいい」



「え?」




僕が唖然として聞き返すような声に


「…もう…ここにいた奴は戻ってこない」


それだけ言うと
やっぱり何も表情を変えず

僕に背を向けて部屋を出て行った。













読んで貰えて幸せ( *´艸`)♡ありがとうございました!
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6 Comments

723621mam  

No title

ああ、せつない苦しい・・・

2018/08/01 (Wed) 20:16 | REPLY |   

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2018/08/01 (Wed) 21:33 | REPLY |   

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2018/08/01 (Wed) 21:35 | REPLY |   

くるりん@  

Re: No title

723621mamさま

カルモノは最初から最後までこんな感じ
…;つД`)すまん

2018/08/02 (Thu) 19:55 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

ゆ*まさま

このお話はずっとこんな感じなんです。
だから人気がない(笑)
他の話は誰かがすくってくれるんだけどね。
こんなんでよかったらまたお付き合いを

2018/08/02 (Thu) 19:59 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

ゆか*ろうさま

この話延々ユノが悲しく想う話。
最近ユノペンに気付いた?!( *´艸`)そっかぁー

2018/08/02 (Thu) 20:02 | REPLY |   

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