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KARUMONO 12


(Changmin)












「んんーーーーーーーーっっっん、んっ」






「……チャンミン……お前、何やってんの?」





口を笑いに歪めて僕の前に来たレラさんの

丸くなっていた目がマジマジとこちらを見て
ぎゅっと細まったと思ったら


手足を縛られ、口にタオルまで巻かれ
リビングの床に放置された僕を助けるそぶりも無く



そのまま数分間爆笑された。









「もうっっ、あの人最悪ですっ。最低ですっ」


口に巻かれたタオルを剥ぎ取るように外すと、僕はじんわりと縛られた余韻が残る手首を摩りながら、大きな声でレラさんに向かって叫んだ。





とにかくあっという間だった。


振り返ったあの人が僕に手を伸ばして
頬に指が触れたから身をすくめたら

目の前にぐっと寄せられた顔があって。

キスされるんじゃないかって思った瞬間には、意識を飛ばされてた。



次に気が付いた時にはリビングにもう縛り上げられ転がされた状態で
それでも僕が出来うる限りの睨みを効かせたら
ユノはバカにしくさったように頭を撫でて

「良い子にご飯のお店考えとけ」って
クスリと笑って出て行ったんだ。



思い出しただけでも腹が立つ。



そんな気持を逆撫でするように
僕のフォローをしてくれることになった目の前の上官は
気さく過ぎる態度で肩をバンバン叩くと笑い疲れたのか、はあっと息を漏らした。





「いやーっ、久しぶりに腹の底から笑ったよ。お前なにやらかしたの?」


レラさんは明らかに笑いすぎの涙目でこっちを見ると、またさっきの僕の姿を思い出したのか口を歪める。




「別に何もやっていません。あの人が仕事に行くって言うからついて行こうと思っただけです」

限界迄口を尖らせ、笑いを咬み殺すその顔を睨みつけながら僕が言うと
レラさんは「ん?」っと首を傾げて
視線を斜めに向けた。


「仕事?」
「はい。化け物退治だって…」
「ああ。それね…」



僕の言葉に何か思い当たったのか
レラさんは小さく何度か頷くと
腰に手を当てて僕を見た。



「そーだなぁ。お前あいつのお仕事見てみたい?せっかくだから連れて行ってあげようか、チャンミン」



そう言って口の端を引き上げた。
















「ほらあそこ」


……あ…。



「綺麗だろ?」


レラさんの言葉に
声も出ず、ただ頷いた。



ビル街の2ブロック先に
月明かりに照らされて青白く浮かび上がる黒い動き。




ユラユラと黒い陽炎が
ユノの鎌の振りで流れて


風のラインが浮かぶ。



動くたび陽炎が広がり
ユノの周囲にいる鬼の気配が消えていく。

薄い黒のベールを身体に纏って
どこか踊っているようにさえ見えてしまう。




「ユノの戦い方は独特で……綺麗だよな」


レラさんは建物の壁に寄りかかって腕を組んだまま
繰り広げている戦いに目を細めた。


「……はい…凄く」



僕は息をするのも躊躇われるほどの光景に
ただただ魅入って短い言葉で頷くのが精一杯になる。


こんな戦い方をあんな奴がするなんて。


ひねた思いが浮かぶのに
それと同時に

何故か胸が熱くなる。







大した時間もかからずに
数え切れないほどの鬼を事も無げに消していき

その奥にいる黒い大きな塊へとゆっくり近づいていくユノを見たくて
無意識に一歩を進めようとしていた僕は
レラさんに肩を掴まれて引き戻された。



「あー、そこ迄ね」

「…え」
「あと一歩入ると覗き見がバレるんだよ」


レラさんは振り返った僕にニヤリと笑うとウインクをする。


「これバレたら今度は簀巻きだね。…簀巻きって知ってる?」




「……は……すまきって…」


余りにも間が抜けた言葉に変な息が漏れ
賢者と名が付いている筈の人物をマジマジと見て






……え?




その背後に




息を飲む。







「……っ…?!」

「チャンミンっ!!下がってろっ」


僕の声にレラさんが舌打ちして
僕を背中に回すとすかさず手を叩く。


「なんだよ、気配が無いじゃんか。…不味いな、デカイ」

細身の剣を構えるとボソリと言って背中の僕をチラリと見た。



数メートル先には
僕達の3倍以上は高さがある黒い熊のような形の鬼が
涎を流しながら僕達を見ていた。



「珍しいのがいるんだな。…チャンミン。絶対僕の後ろにいてね」




「……」


レラさんの声が
目の前にいるのに

とても遠くに聞こえて。


僕は全身が総毛立ったまま
動けないでいた。

そして頭には妙な違和感が湧き上がる。






…………こいつ



知ってる。


初めて見たはずなのに


なんで?






心臓が鷲掴みにされたように痛んで
膝がガクガクと震えるのが分かる。



だけど、どうしてか考える暇も無く

「来るっ、チャンミンっ」

叫ばれて腕を掴まれると
遠くに飛ばされるように引っ張られて勢いのまま尻餅を着いた。


「動くなよっ」


あっけに取られたまま目の前を見上げると
レラさんが鬼に向かって剣を下から上へ切り上げていくのが視界に入る。





ドッと



重い音がして




オヌの体が二つに裂けると
向こうの風景がその開いた隙間から見えた。




「チャンミンっまだいる。気を抜くな」





前を向いたまま叫んだレラさんの声が
さっきよりも、もっと遠い。






まだいる?
こいつが。





いや

そうだ。




あの時…。




あの時って?





……いつ?





歯がガチガチとなって、尻餅を着いたままレラさんの背中を見つめ
まだ感じる気配に心臓が飛び出しそうなほど脈打つ。



……そうだ、あの時。



「レラさん……あと…3体はいるはず…」


「えっ?」



僕の言葉に振り返りかけたレラさんが
横で動く気配に足を進めていく。




……やっぱりいた。



獣のような独特な息遣い。




……知ってる。


僕は間近で聞いた。







……怖い。



やだ。




「待って、チャンミンっ」

堪えられない恐怖に襲われて僕は立ち上がると、レラさんの静止も聞かずに気配の無い路地へと走り出していた。














読んで貰えて幸せ( *´艸`)♡ありがとうございました!
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