All Mine 「選択」 4


(Yunho)









TVを見るために斜め奥を振り返り
それから
もう少し先へと動く頭。

それはもうTVを見ていないよね。


知っている奴がいるのか?

何度聞こうと思ったか。


無意識の行動はそわそわと店内の見えない何かを探してる。

交差点の先のあの辺が絡んでいるのか
この店自体がそうなのか。

いずれにしても失敗したよなぁ。


まぁいないみたいだからここまで何もなくご飯を食べていたけれど。
こうもチャンミンの気が散ると、途中酔った勢いで頭を掴んで「こっち向け」って言ってやろうかとまで考えた。


何を気にしているのか
不安に思うのか。
お前が不安に思う事は何も起こって無いけどな。



はぁ。今日はつまんない。

……なんて言ったら傷つけるだろうなぁ。


いっそ言った方がこの目の前の症状はおさまるのか。
それにしてもおかげで全く酔わない。

空になったグラスを置いたあと
俺は鞄に手を突っ込んでタバコを掴むと立ち上がった。



「ちょっと一本吸ってくる…」
「……ぇ」

途端に不安そうな瞳に見上げられたけれど無視することにした。
俺に集中してくれない罰な。なんて。

なんかこの表情、昔を思い出す。
何か言いたげに俺を見て
そうだ。
あの離れる直前によく見ていた視線。
嫌なことまで思い出した。


「横の駐車場に灰皿あるんだよね?」

席に着いたときに店内禁煙でそんな事を言われたから確認で口にすると、チャンミンは頷いた。

「うん。……でもただの駐車場だからあんまり…」
「分かった。すぐ戻る。悪いな」

言葉を聞き終わらないうちに俺はお礼を言うと席を離れた。









……あー…俺ってやな奴。

駐車場を少し入ると店の境に置かれた細長い灰皿スタンドを見つけてそこで煙草に火をつけた。
ふうって吐き出し
街の明かりで真っ暗な空に顔を向ける。

別にそこまで吸いたいわけではなかったけれど、冷静になりたかったのもあった。


「ほんとにお店の選択間違えたよ……ってか場所?」

後悔の波が激しい。

今日もただ普通にこれまで通り飯が食いたかっただけ。
できればこの前の反応もちょっと楽しんでみたかった。

……なのにそれどころじゃない。

様子を伺っていたらどーも店の店員では無く人の出入りに敏感になっていた気がするから、多分会いたくない奴がいるんだろうなぁ…って分かったけれど。

あーもそわそわされると…

「あーあ…」

大きく吸い上げてため息と共に紫煙を吐き出したら、俺と同じような格好の奴が来たから横にズレた。

「ここの店来たの?」

同い年ぐらいの男は煙草に火をつけながら俺に笑顔を向けたから、吸い上げながらコクコク頷いた。


せっかく頭の整理をしていたのに喋りかけてくんな。
とは言えないよなぁ。

「はい。つけダレのハラミとタンが美味かったです」

愛想笑いに気分を良くしたのか笑みを深め同意の頷きを返されて
このまま会話が続きそうで嫌になる。

「あ、タンはここの名物だからねー。もしかしてこの店初めて?」
「会社の同僚に教えてもらって友達と…」
「あーーそうなんだ」

そいつが煙草を咥えたまま少し体を揺らして「あー友達とー」なんて言った声色がイラっとする。

俺は寂しがり屋だから一人焼肉はしないの。
今ちょっと考え事しているんだけど。

「このあと飲み?」
「あーいや…」

……めんどくさいな。


灰皿へ苛立ちを込めて煙草を押し付けたら、視界の隅で動く影に顔を上げた。

「ユノ」

チャンミンが俺を呼ぶ。

「どうした?」

ちょうどいい助け舟に自然と笑顔が浮かぶ。

いや、それだけじゃない。

店の方から体半分覗かせたチャンミンは眉を下げ明らかに心配げな顔を向けていた。

俺が帰ってこないからってすぐ来るとか。
なんか嬉しいよね。

自分の意地悪が効いたような
子供みたいな満足感。


だって今日は、お前が悪い。



「お肉来たんだけど…」
「ありがとう、今行くよ…では…」

軽く頭を下げ
自分でも満面の笑みだと思いながら近づいたチャンミンは俺の奥へチラッと視線を向けてすぐに戻した。

「なんか話してたんですか?」

何が気になるのか。

「んー別に店の話」

店の入り口で背中に手を当て促したら

「そうですか…」

僅かにトーンが落ちた声が耳に届いた。



ほんとさぁ。

触れそうで触れられない何かが
少し見えているような。


それがじれったくて
やっぱり意地悪してみたくなる。



だから

「なんか……誘われたけど」

って主語も曖昧に言ってみた。








その瞬間。



音がしそうなぐらいの勢いでチャンミンが振り返ったから
逆に驚いてしまう。

嘘だよって戯けるのが不可能なほどの表情で。

どこがと言えないけれど
この予想はいい線いってたんだなとは思う。
やっぱりあそこ絡みで。
俺には近づいて欲しくはなかったってことだな。


だけどもうこの先言葉の選択間違えたらエラいことになりそうなのだけは分かって。

いや、そういうものには誘われて無いし。ほんと肉の話だけ。とは言えなくなって。

……マズイなぁ。


何か上手い言葉が繋げずに
しょうがないからさっきの奴には申し訳ないけれど、もう悪役被ってもらおうと
「お前が来てくれたから丁度逃げられた」ってヘラヘラ笑ってみせた。

「そうですか…」

自分がどんな表情をしていたのか気づかないのか、案外素っ気ない返事をしてチャンミンは席に座るとトングを手にして肉を焼き始める。
立ち上がる煙の向こうに見える姿はさっきが嘘のように無表情で、怒っているようにも見える。


そのしらっとした顔に
俺が何処まで勘づいたか教えたくなるのは

「…俺やっぱり酔ってんのかなぁ…」

思わず口にしたら
すぐに顔を上げたチャンミンが

「さっさと食べて帰りましょう。…心配です」

今の俺には色んな意味に思えてしまう言葉を口にした。












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明日はチャンミンside。
結構長いです。すいません;つД`)
今回の肝なので上手く切れず最終的にやっぱりくっ付けた話です。
今日の回あたりからかなりくるりん@っぽく微妙なやりとりとウダリが入ってきました(;´Д`)
こんなので申し訳ないっ。
平気よぉー♡て方はよろしくお願いいたします(*ノωノ)


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2 Comments

723621mam  

No title

いつもとちょっと違うソワソワ落ち着かないチャンミンいいね。
そんなチャンミンを観察してるユノもいいね。
せっかくなのになんか焼肉もったいないけど。(笑)

2018/08/31 (Fri) 22:39 | REPLY |   

くるりん@  

Re: No title

723621mamさま

今回はほんと最初から最後までチャンミン色んな意味で落ち着きないです(笑)

2018/09/02 (Sun) 18:26 | REPLY |   

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