All Mine 「選択」 7


(Changmin)









「本当に飲むんですか…」
「当たり前だろ?」

ユノは酎ハイを開け強めの炭酸に眉を顰め
それでも半分ぐらい無理に飲み込み缶を置いた。

「チャンミンも飲みなよ。つまみも食べないとな」

袋に手を突っ込んで焼き鳥や唐揚げを広げながらそう言った目はもう窪んで、酔いなのか眠いのか多分両方なんだろうな。

「……烏龍茶でいいです…ユノもそうしようよ…」

用意していたコップに注いで差し出したら、途端に口が尖った。

「なんでだよ」
「飲まなくても話せます…それに本当は疲れているんじゃないんですか?」
「そんな事はない」
「目の下にクマが出来ましたよ。顔色もイマイチで…その胸に抱えている枕の端っこを触っているのは眠いんですよね?」
「は?手触りいいだけ」

部屋に入って早々に僕のベッドからダイニングへ持ってきた枕を抱き
それでもムッとした表情に
はぁーってこれ見よがしにため息をついてみせる。

「嘘だぁ。だって眠い時の癖じゃないですか、それ」

やれやれと顰めた視線を向けたら
ユノは驚いた顔をして暫く僕を見てから
縦にしていた枕に顎を置き「うん」って笑顔で頷いた。


「……は…」

その反応に一瞬で頬が熱くなる。




あれから
ユノはさっきのことには触れず
なにも聞いても来ない。

僕とこの先も続けていきたいからなのかな?
なんて自惚れてしまうほど
いつもと変わらない空気を振りまいてくれるから
僕もユノに甘えてしまう。

だから
こんな不意打ちのような狡い仕草は

一瞬で僕の心を掴んでしまうんだ。


「なっ、なにがうんですかっ。だからあの時お開きにして帰ればよかったじゃないですかっ」

照れ隠しのキツめの返しに
ユノは枕に顎を乗せたままトロンとした目で僕を見上げ、口元に笑みを見せる。



「…だってさ……俺はお前とあそこで別れるのは嫌だったんだよ」


「……ぇ」


「あんなこと言われたお前を見た後、すぐにじゃあって俺には出来ない。ごめんね」


「……ご…」


……ごめんっ……て


僕の心臓は痛いほどにバクつき
照れなのか怒りなのか沸々と湧き上がる熱さが全身を包んで行く。


「よく…………普通に…言えますね…」

机にうっ伏したいのをなんとか堪え、片手で顔を覆うと震える息が出てしまう。

恥ずかしくてどうしようもない気持ちと
嬉しくてどうしようもない気持ちで苦しくなって
全てが一回転した挙句
もうこんな事を平気で言うユノに怒りたくなる。

「……ユノ……酔って疲れて……おかしいですよ…」

頑張ってやっと口にした一言に
困ったように目を眇めてクスクスと笑う。

「酷いなぁ」
「……酷いのはユノです」
「なんで?」
「よくそんな事…」
「そんな事って……当たり前じゃんか」

その言葉に伏せ気味の視線を上げたら、ユノは枕を抱き締め直し僕に目を細めた。

「俺はほんとうにあいつに腹が立ったからね」

笑みを浮かべながらも僕をじっと見て
本当だったら触れられたくない部分を言われているはずなのに
そこに篭る僕への想いに
ユノがこの先続けてくれるだろう言葉に僕は見つめ返してしまう。

本当に僕はこの人が好きだな。
今も昔も変わらない。

そう認めた途端
胸がズキッと痛む。


「チャンミンが過ごしてきた時間をあれこれ言う気は無いけどさ。でも理由はよく分からないけれど…あれがお前に対してやり過ぎだって事は分かったよ」
「……あれは…」
「いいよ。お前だって色々あるんだろ?それぐらいな時間はお互い離れて過ごして来たんだからさ」

ユノは首を振る。

「俺……ほんと今日はあんな状態で別れてたらもう会えなくなくなる気がしてさ。だから今ここでこうやっているのは俺の我儘なんだよ。……だから…ごめんな。我儘付き合ってくれてありがとう」

深めた笑みに
僕はまた泣きそうになったから俯き頷いたけれど

「ほんと?嬉しい。良かった……なんかさぁ……安心したら眠くなった……もう寝ていい?ってか寝たい…」

トーンダウンしてきた言葉に顔を上げた。


「……え…」

「俺めちゃ忙しかったんだよ今週さぁ…」

枕をぎゅーっと抱き締めて頬擦りするからその姿に僕は慌てて立ち上がった。

…ちょっと待って。
これってもうアレだよね。

結構胸にジンときていたのが恥ずかしいほどに
ユノは眠りへシフトしていく。

「ユノ…なんか残念になってますけど…」
「え…残念?……って?起きたら教えて」
「いや、オールは」
「…………オールで家にいる」
「……」
「……」
「ユノっいま本気で寝落ちしそうでしたねっ駄目ですっシャワー浴びてっ焼肉臭いですっああっそんなに頭擦んないでっ臭いがつくからっ寝ちゃう前に早くっ」

赤ちゃんのように枕へ顔を擦るから慌てて取り上げたらムッとした顔で見上げられ、その姿は僕たちが過ごしたあの時のままに見え、僕は思わず吹き出してしまった。












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飲み直してねぇよの突込みは許してください…orz

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あと二話。
「お互い好きなのにねぇー何やってんだか」の二人を楽しんで頂けたら嬉しいです。



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