風のかけらSS 「Christmas gathering next」 3


(Changmin)








「あ…新しく作ってくれたんですねドリア。美味しそうですっ」
「おいっまだ手を出すなよ火傷するからな。あと、もう少しで肉も出せるから」
「うわっ嬉しいですっ。」

エリさんが帰った後のテーブルはどこか沈んだ空気が漂っていて、リュウさんが置いた料理に僕は身を乗り出して声をあげた。

なんかこう……テンションあげなきゃ、なんて気持ちが逆に湧いて来るほど落ち込んでしまったから、明るく声を出さないといられないというか。

ユノさんのモテまくりの話もそうだし、あのオファーは僕の想像をはるかに超えたものだったのがショックで。

一気に胸の内に湧いた想いが今すぐ溢れそうで、目を逸らさないといられない。


「お肉ってなんですか?」
「ローストビーフな。あとキッシュとサラダも出す」
「あ…ローストビーフ……赤ワイン欲しいです。いいですか?……ユノさんまだ来ないけど、もうちょっと飲みたいです」

笑顔で言ったのにリュウさんは暫く僕の顔をじっと見つめた後「いいの出してやるよ。ユノにつけとくから心配すんな。アイツめっちゃ稼いでるからな。甘えとけ」って僕の頭を叩いて引き返した。

リュウさんがいなくなったテーブルはまた静まり返って、僕は目の前で眉を下げたシウさんを見る。

「ユノさんあとどれぐらいで来ますかね」
「……チャンミン」
「早く来ないと僕が全部食べちゃうのに。仕事でお腹空かせているのに怒られちゃうかな…」

「……ユノは怒らないよ、チャンミン。……お前の事をとても大事にしているんだから」

その言葉はさっきの事を思い出させて
僕は後悔で胸が押しつぶされそうだ。

「チャンミン…さっきの仕事の話なんだけどな。あれは本当にユノが自分の為に決めたことなんだ。だからお前が何か思わなくていい」

「……」


……でもさ。多分。

ユノさんが大事にしてくれたから
僕は
ユノさんから大事なチャンスを奪ってしまったんだ。

これまでの彼女さんたちはみんな何かを持っててユノさんに尽くしてて。
今の僕は全てが真逆。
大きな仕事も潰して
何もユノさんの恋人として役に立ってないじゃんね。


言い返したら泣きそうで
僕は逆にヘラヘラと笑顔を作り、取り皿に手を伸ばした。


「……でもリュウさん優しいからユノさんの分もちゃんと用意してくれているかな。早速食べちゃいましょうか……ぁ熱っ」
「大丈夫?!」


なんだこのやり取り。

上手い受け答えも出来ず、自分でも突っ込んでしまいたくなるほど下手くそな態度に余計狼狽えて。よそおうかと思ったドリアの皿に指先が触れ、驚いて身を乗り出したシウさんに苦笑する。

「………あーちょっと冷やそうかな…行ってきますね…」

何か言いたそうなシウさんから逃げるように僕は席を立った。











「……あーーー…」

黙っている事が出来ずに小さく声を出す。


みんなの前で貯め込んだ重いものはそんなぐらいじゃ出て行ってくれないけれど。



……なんてことしちゃったんだろう。


申し訳なさすぎて。
ジンジンと痛む右手の人差し指がそれを教えてくれるように、鋭く絶え間無くシグナルを送ってくる。

「……寒い…」

トイレのある廊下に出たら
冷たい空気の流れを火照った頬に感じ、顔を向ける。

「……ちょっと外の空気でも吸おうかなぁ」

吐き出した息は白かった。
気分を変えるには丁度いいよね。
僕は歩き出す。





リュウさんのお店がある地下から階段を登り
視界の先に広がった世界的にも有名なスクランブルの交差点を駅に向かって渡る。
それから犬の銅像の背中を眺め
待ち合わせの人に紛れてひんやりするアルミの椅子に腰を落とした。

「はぁ」

この胸の中に広がる重いもの。


広場を行き交う人を眺め宙を見て唇を噛み締めた。



……凄いオファーだった。

しかもユノさんのやりたかった
夢だったものの一つ。

それを僕は潰してしまったんだ。


そうだよ

ユノさんは仕事なんだ。
生活がかかってて自分の人生がかかってて
なにより夢がかかってたのに
あの時もっとユノさんの事を考えて突っ込んで聞くべきだったし
僕がしっかり「やりたい」って言うべきだった。



エリさんが言っていたっけ。
「ユノさんに取り入る」って。

僕はそんなとこまでもいっていない。



「……どうしよう……今からでも…なんとかならないのかなぁ…」

息を吐き駅の広告を眺めるとあまりの不甲斐なさに視界は滲んでぼやける。


僕の周りにはこんな時間でも待ち合わせの人が溢れ
賑やかな音楽と楽しそうな笑い声。

はぁ…って息を吐き出して近くの犬の銅像を見て思い出した。



そういえばここはユノさんと初めて待ち合わせした場所だった。


「そうだよ……」

あの時の僕たちは間違いなく
有名なカメラマンのユノさんとただのファンの関係だったんだ。


あの時の僕が見たらなんて言うだろう。


何やってんだって怒るよな。
僕がちょっと勇気を出せば新しいユノさんの世界が見れたのにって、絶対思ったはずだ。


「……取り返しがつかないじゃんか…」


なんて謝ろう。

言葉が見当たらない。


もうこんな僕の何がいいんだろうユノさんは。




「チャンミナっ」


「…っ」



急に呼ばれた声に
止めることができなかった涙がぼろっと溢れ
お陰で一瞬広がった視界には
息を吐き、これまで見たことがないぐらいに真剣な眼差しのユノさんが見えた。











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4 Comments

くみちゃん  

えりめぇぇぇ┗─y(キ´゚皿`) テメッッ・・・

前回といい今回といいいつも邪魔しやがってぇぇぇぇぇ(怒`Д´怒)チャンミン泣いてるじゃん!!( `皿´)キーッ!!
くるりんさん!!風のかけら‥‥ほんとお久しぶりでめっちゃ嬉しいヤッホー(*´∀`*)ノ
このお話めっちゃ好きなんですよ。
まだこのおふたり様露天風呂でイチャイチャしたけどまだ最後までいってませんもんね(笑)チャンミンがめっちゃ可愛くてそんなチャンミンを溺愛してる大人のユノが
堪らなく好きなんです(๑•̀ㅂ•́)و✧グッ!明日はXmas!!2人がイチャイチャしてます様に(*˘ ³˘)♥ちゅっ

2018/12/24 (Mon) 21:42 | REPLY |   

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2018/12/25 (Tue) 07:55 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

く*ちゃんさま

怒らないでぇぇぇwww
手っ取り早く爆弾投げ安い方登場(笑)
本当はもっと拗れた感じだったのですがこれでも書き直してマシなんです。
風のかけら久々過ぎてどうかなぁと思っていたので喜んでもらえて嬉しいです( *´艸`)
そうそう、まだ露天風呂で触りっこ止まりなんですこの二人。
今回エロ無しなんですけど仲良しラブラブなので最後まで愛でてやってください(*ノωノ)

2018/12/25 (Tue) 19:20 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

Win*naさま

風のかけら何度も一気読み(@_@)!!ありがとうございます。
拙い話で申し訳ないっ(ノД`)・゜・。うれしー。
私のお話はどれもかなり行き当たりばったりで書いているのですが、あの場面は題名を考えたときに何となく浮かんでいたような…。
他の書き手の方と違って文章力も何も無いんですよ;つД`)ポチポチだけでも凄く嬉しいです!
私の萌えるままにただ書いてます。なのでお話の広がりがない(笑)
こんなブログですが他のお話に飽きてお暇なときにまた覗きに来てくださいね♡

2018/12/25 (Tue) 19:48 | REPLY |   

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