風のかけらSS 「Christmas gathering next」 5(最終話)



(Changmin)











「ユノさん」



「……はい」




ベッドに降ろされその場で正座した僕は、目の前で瞳を泳がせ立っているユノさんへ床を指差した。


「ここに座ってください」

「……」

「早く」
「はい」

ベッドサイドにちんまり正座したユノさんは視線を合わせることなく俯く。


それから僕は
その姿を眺めはぁと大きくため息をつく。



ああ酔っている。


酔っているけど



今日はもう宣言してあるし。



いいもん。







「ユノさん…ほんと凄い…」



さっき聞いたユノさんのモテ話は僕の想像以上で。
特に二つ目の賞をとってマスコミに取り上げられるようになった頃なんて


…………華やか過ぎる。



「僕ね、ユノさんのこと大好きですよ。大好きですけど……………見損ないました」


ちょっと言い方違うよな。


そう思うけれど酔った思考回路はイマイチで、言いたいことが曲がりくねって僕の口は尖っていく。

「……」
「男から見ても…結構遊んでますね。どおりであの二人がいつも面白おかしくいうんだ…」
「でも結構前のこと…」
「言い訳はいいんです。いつだろうとユノさんがしていたことです」
「はい…そうです…すいません…」


うな垂れたユノさんの前髪がさらにサラサラと落ちた。

「謝んなくていいんです」

責めるような言い方をして謝ったら否定して。
僕はなんなのだろう。

飲みながら二人から聞くユノさんのモテ話は聞けば聞くほど僕とはかけ離れた世界で、あまりにも差を感じて、笑うしかなかった。

考えてみればもともと僕にとってユノさんは雲の上の人で。
著名な写真家さんとただのファン。



あれ、

そうじゃん。


僕。


「そりゃあさ。ユノさんはカッコいいからモテると思いますよ。多分今だってモテてるはず…」


そうなんだ。
僕は聞けば聞くほどユノさんとの世界の差を感じて。

「僕があーだこーだ言う資格は無いんですけど…」

…無いじゃんか。



あれ?





「…僕…なにわがまま言って……んの?」


好きだって言われて
離したくない無いって言われて


いい気になってる?



だけど

ユノさんは僕が好きで……




……そのユノさんが涙で霞んできた。





「チャンミナ?!」


驚いて腰を浮かせた気配は分かった。





「……僕」


離したくないって言われたけれど。

離されたとしてもおかしくなくて。


えっと……


「……これって……僕…ユノさん信用してない?」


勝手に滲む涙で立ち上がったユノさんがいくつも見える。

「チャンミナ。違うごめん。泣かないで」

そう言っているユノさんは
思えばなに一つ悪くない。


僕があの二人をどやして聞いたんだ。

知らなくてもいいことだと思ったけれど、ちょっと知りたかった。
聞かないほうがいいと思っていたのに、さっきのユノさんの告白にいい気になって。
調子に乗って聞いたことに大きなダメージ食らって、やっぱり聞かなきゃよかったって後悔してる。


色んな事がそのままそうだったって
やっぱり思った。


隣の席で苦り切ったユノさんを無視して、困っている二人に無理を言って。
あまりにも凄すぎたんだよ。というのはいいわけで、どこかわかってたのに。

ユノさんの過去に飛び込んだのは自分。



「ユノさんは悪くありません」

そうだよ。
ユノさんの過去を否定する僕は

そうだ、僕がおかしい。


不安。

昔の恋人達に

ユノさんの近くにいた
やっぱり僕には雲の上の人たちに

とてもじゃないけどかなわないと感じ

意味もない勝手な嫉妬と落胆をして。


都合よく
自分を好きでいてくれるユノさんに方向違いの八つ当たりで。

酔ったついでに
文句を言い
その過去まで否定して

「……僕……ここに来る時酔ってばっか」



……やっぱり


「…ユノさんと釣り合わないかも……はは…」



もともと憧れだった人が恋人になるだけでも気後れをしていた僕にとって、ユノさんがどう遊んでいたと言うよりも、やっぱり過ごしていた世界が違いすぎるのを、こんな話を通してもう一度確認させられて。


ちょっと。

……いや、かなり

落ち込んでしまった。



「……ユノさん…僕…」

言いかけた言葉は、ユノさんが勢いよく抱きしめてきた体に消されてしまう。

「間違っても別れるとか離れるなんて言うなよ。酔ってても言うなよ。絶対口にするなよ。流石に怒るからな」

「……ユノさんが言ってる…」
「ああ、もういいからっ」

「……もう怒ってるじゃないですかぁ…」

僕はため息をついて、ふわふわした頭をゆるく振ってユノさんの腕の中から離れた。


目の前には不安そうな表情のユノさんがいて。
僕は少し頭を傾げる。


「どうしてユノさんそんな顔しているんですか?」
「お前が変なこと口にしそうだから」
「ユノさんは困らないと思います」
「困る」
「こんな愚痴っても?」
「そう」
「面倒くさくても?」
「うん」
「僕のどこがいいんですか?」
「全部」
「全部?」
「性格も容姿もそこから派生する感情も行動もその声も仕草も全部」
「恥ずかしくないですか?スラスラ出る」
「恥ずかしくてもお前が離れないよう頑張って言葉にするって。こんなのこれまで言ったことがない」
「本当に?」
「本当。お前にバレたんだ誰でもどれでも聞いてこい。会わせてやる」
「やだ」
「じゃあ信じろ」
「なんでそこまで僕がいいんですか?」

「なんでって……だから全部だよ。お前と出会ってから全てが俺にはかけがえがないし、世界が変わったんだ。今こうやって駄々こねてるお前さえ可愛いと思ってしまうぐらいなんだよ。ああもうっ……どうすればお前の機嫌は治る?」

横に座りなおしたユノさんが大きく息を吸って僕をまた抱きしめた。

「ユノさん…僕重い気がする…」

ぐいぐい手で押していくのに僕は倍の力で抱きしめ返されて、息もしづらい。

「今度は重いか。それは受け取る側の解釈で全く違うものになるから気にすんな」

「あー言えばこー言う…」
「チャンミナもね」
「酔ってる…」
「うん。慣れた」
「こんな僕忘れてください…」

そう言ったらユノさんはちょっと吹いて
背中を優しく撫でてきた。


「なぁチャンミナ…」

「……はい?」

「チャンミナは俺の記憶が飛ぶのがいいの?」


「…………………………………ずるい…」


笑うユノさんの振動が体に響いて
僕はこれ以上ないと思える程の幸せな温もりの中
微睡みに似た気持ち良さになにもかも甘えたくなる。



「ユノさん…」


「うん。…なに?チャンミナ?」

肩にユノさんの声が響いて
僕はふうっと息をついてその頭に頬を寄せた。

「僕、これまでユノさんを通り過ぎて行った彼女さん達と違って、華やかさも色気も何もありません……どうしてユノさんが僕をいいかやっぱりよく分かりません……何より大人の恋も出来てません……」

「大人の恋?」

ユノさんが不思議そうな声を上げ、僕の顔を覗き見ると目を丸めた。

「その……ユノさんが沢山降らせてくれる好きっていう行為を僕は手を広げても受け止めきれずにポロポロ落としているような…」

「……」

切れ長の筈がますます丸くなるユノさんの瞳に、こんな事を言うこと自体が子供染みている気がしてきて、恥ずかしくなってジンワリ頬が熱くなる。

「……その…どう喜んでいいのかさえ………勿体無いとか嬉しいとか…もちろんあるんですが…なにかこう…おしゃれなお返しとか思いつかないし…」

「…おしゃれ?」

開いたままの口を見ながら僕は頷いた。


「その……恋人って…なんていうか……対等っていうか……ああっ酔っててうまい言葉が浮かばないけど、僕はユノさんに何も返せてな…」

「なに言ってるのチャンミナ」

頭を振って思考を戻そうとした僕に優しい笑みを返してくる。

「俺はチャンミナから、好きって気持ち以上の……それこそ俺の全力で返しても足り無いぐらいのものを貰ってるけど?」

「……はい?」

間の抜けた声で返事をしたら、ユノさんは肩を揺らした。

「何事も言葉にしなきゃ伝わらないって思っていたけれど、言葉でさえ難しいものもあるんだな。目に見えて耳にして……それでも足りないものはどうすればいいのだろう」

「ユノさん…?」

クスクスと笑う息遣いが動いて、ユノさんがゆっくり僕を覗き込むように瞳を合わせてくる。

「チャンミナ……俺に時間をくれるかな?そばで俺を見て俺がお前をどう想っていのるか時間をかけて感じて。チャンミナの言う大人の恋がどう言うものか分からないけれど、お前の言う大人の恋じゃなく、俺たちの恋を作っていけたらなぁって俺は思うけど。駄目かな?」


澄んだ瞳が笑みに細まって。
僕は出会った頃から慣れることがない熱量に全身が総毛立つ。

「ユノさん…」
「俺はとにかくお前をずっと離す気がないからな…お前に捨てられるまで」

苦笑するユノさんに僕は慌てて首を振りその腕を掴んだ。

「僕が捨てるとか有り得ないからっ」
「そう?嬉しい」

クスクスと笑うユノさんは掴んでいた手にそっと右手を重ねてくると、左手は僕の頬に添わせてくる。

「チャンミナ……好きだよ。今日の事が懐かしい笑い話になる程同じ時間をずっとずっと一緒に過ごして…」



……なんかもう…幸せ過ぎて。


ユノさんとならこの先どうなっても構わないぐらい
全てを委ねても後悔しない開放感に胸が震える。


「…うん……僕も同じ気持ち…」

ユノさんの近づいて来た気配に僕は目を閉じる。


「なんか僕……ユノさんから離れられる気がしないです」

幸せの言葉を降り注いで貰った僕は酔いが覚めない頭でふふふって笑ってしまう。

「よかった…嬉しいよ」

ユノさんの囁いた息が僕の唇に触れる程そばに感じて、僕はその背中に手を回す。

「じゃあチャンミナ…今日はもうちょっとだけ進んだ事してみる?」

ユノさんの声が耳に届いた時には僕はもう、返事をすることも出来ずに唇を塞がれていたけれど。

僕は答えるように震えた手を動かして、その首に抱きつき直した。











(Fin)


-----------------------------
というわけでユノさんなんだかんだ手が早ーいw流石だわwww な終わりでした(笑)
久々の「風のかけら」いかがでしたか?
どこかワンシーンでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
ちなみにエチ迄行ってません。
おさわり程度でチャンミン疲れて寝ちゃうだろうなぁと思います。←いらない結果報告。

それではクリスマスも終わり、最後はバニラアイス。
ユノがミルの元でバイトを始めて一年後ぐらいな話。
日程をずらすこと無くこのまま明日から。
二話連続です。
いつものあのメンバーをご存知の方は覗きに来てくださいm(._.)m


読んで貰えて幸せ♡有難うございました♪
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10 Comments

くみちゃん  

あーーいい所で終わった!ーーー( ̄□||||!!あーーこの後が見たい見たい見たいよーーくるりんさんお願いします(*꒦ິㅂ꒦ີ)
あーーでも久しぶりの風のかけら!!めっちゃ面白かったです❤ここ数日は風のかけらの読み返し週間で仲間で盛り上がってました♪♪今日は東方神起韓国デビュー15周年ですね❤東方神起おめでとう(・ω・ノノ゛☆パチパチ

2018/12/26 (Wed) 20:20 | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/12/27 (Thu) 01:10 | REPLY |   

にゃんにゃんこ  

ステキすぎるーー

とっても、ほんわかした気持ちになりました❤️また、続き読みたいです✨明日からのバニラアイスも楽しみにしています❤️

2018/12/27 (Thu) 08:32 | REPLY |   

mi_ukkiy  

溺愛しちゃうよねそりゃ

こんにちは
毎回素敵なお話ありがとうございます。今回はキュン死寸前です。その後でもいつでもどこで次回作楽しみに
待ってます。

中でも今回1番は!!
両手を広げてもポロポロ落としちゃうって感じてるチャンミン。
どれだけユノさんの行動や言葉を大切に見て聞いて受け取ろうとしているのか伝えてしまいましたね。可愛いすぎる。こんな恋人、うらやましいし、そんな人になりたい、無理だけど。

2018/12/27 (Thu) 16:17 | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/12/27 (Thu) 17:59 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

く*ちゃんさま

もうちょっと書いてもいいかなと思ったのですが
後ろが使えているのでこの辺で(笑)

ちなみに…「読み返し週間で仲間で盛り上がってました♪♪」ってあるのですが;つД`)
何でしょうかこれ…ありがとうございます…orz
恥ずかしいです…orz

2018/12/28 (Fri) 15:11 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

ゆ*ゆみさま

ありがとうございまーすヾ(≧▽≦)ノ
この二人はもうかなり深いところで想い合っているみたいですねぇ♡

2018/12/28 (Fri) 15:13 | REPLY |   

くるりん@  

Re: ステキすぎるーー

にゃん*ゃんこさま

お付き合いありがとうございました( *´艸`)
またそのうち暗ーい感じで書かなきゃなぁ。と←おい。
バニラもお付き合いよろしくおねがいしますm(__)m

2018/12/28 (Fri) 15:17 | REPLY |   

くるりん@  

Re: 溺愛しちゃうよねそりゃ

mi_uk*iyさま

お付き合いありがとうございましたヾ(≧▽≦)ノ

可愛いチャンミンと溺愛ユノさん楽しんで頂けて嬉しいです。
風のチャンミンは本当に素直でいい子。しかもユノさんを大好きなのでそれが自然と滲み出ちゃうからユノさんたまりません(*ノωノ)
こんな恋人なかなかいないですよねー。なのでユノさん閉じ込めたい発言まで出ちゃいましたw

2018/12/28 (Fri) 15:22 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

ゆ*まさま

ありがとうございまーすヾ(≧▽≦)ノ
今回は元々クリスマスネタだったので暗い部分は影を薄めてただただ仲良しさんにしてみました。
チャンミン落しは忘れませんが(笑)

この二人はかなーり仲良しさんなのでユノさんが何処まで自分の理性を抑えられるかが今後の問題かと(笑)

2018/12/28 (Fri) 15:26 | REPLY |   

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