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Vanilla Ice SS 「宴の後」 2(最終話)


(Yunho)











「お前ら俺が言ったのをなにも覚えてねーのな?」


相変わらずのプレミアムな部屋に二人で顔を出したら
一番奥の3人がけのソファにむくれ顔のミルが踏ん反り返っていた。

「俺覚えてないけど…言ったかな?」
「言ってないよミル凄い酔っ払ってたから言った気になってんじゃないの?」

横からチャンミンのブーたれた声が返ってミルの眉間にますますシワが寄る。

「さぁチャンミンもユノも座って下さい。今持ってきてくれるようにお願いしましたから」

別室にいたカナヤさんが僕たちの横をすり抜けてミルのそばへ行くのを目で追う。

なんか声が冷たいな。
こんなに怒らせるようなことか?
疑問に思いながらもテーブルについて今更ながらの事実に気づく。

「あれ?……リン達は?」
「朝から出かけるとかで結構早い時間に帰られました」
「……やられた」
「ユノっお前なんか言ったか」
「僕だって気付くよ。逃げられたんでしょ?昨日しつこく絡んでたから」
「うるせぇ」
「はいはい、そこまでにして下さいね、怒りますよ。大きな声は頭に響くんです」
「悪い…カナヤ…」

その言葉にハッとする。

……うわ…マジか。


ソファから立ち上がったミルが苦笑して
その横で眉間にしわを寄せているカナヤさんに謝るように腕を叩く。

ツッコミどころがありすぎて。


「……二日酔いなの?…二日酔いになるんだ…」

恐れを知らないチャンミンが素直な言葉で突っ込むから、どんな返事が来るのかと目の前に来たその顔をまじまじと眺める。

「カナヤは睡眠不足の挙句に俺に飲まされたから今日は機嫌悪いからな」
「最悪ですね。あんな高いワインをバンバン開けて…」
「風呂に入れるって言ったら怒ったのはお前だろ。結構マジで殴りやがって」


…言われてみれば片側頬骨の辺りが斑に赤い。顔殴ったんだ。

もう会話の次元が飛び過ぎてて言葉が挟めない。
呆気にとられている俺たちの前で
酔いが残っているようなミルの発言に呆れ返ったのか
カナヤさんは無視して近くの棚にあった封筒を手にとった。


「駄目押しであなたがいい加減計画を立てろと言ったんでしょうが…こんなのいらないって言ったのに」

それから恨めしそうに睨みつけて
中に入っていた数枚の紙を俺たちの前に並べた。


「なにこれ…カレンダー?」
「なんのグラフ?…株?……ライバルの子会社とか…買収……って?」


覗き込んだ僕たちにミルがふふふって笑いながら乗り出して来た。

「これな、この先10年の俺たちの計画」
「計画?」
「そう、これは本当大まかなもんだけどな。本物はあいつのデータの中に全部ある。……ほらここ俺が社長就任な」

そう言いながら2年先の春前を指差した。

「ミル細かい…こんなの予定でしょ」
「チャンミン馬鹿にすんなよ。社長はもう本決まりだ。ここで決定して今内々で動いてる。この先大きな問題がなければこれで行く。来年には公に出るだろうけど今は俺の秘書数人しかまだ知らないから、ユノも秘密にしてろよ」
「あ、うん」

さらっと重要事項を告げられて背筋が伸びる。

「で………だ…」

そう言ってミルは言葉を切ると
一瞬カナヤさんを見て、もう一度向き直った。

「そこでお前らに聞きたいことがある。いや、お前らっていうか……ユノな」
「え?俺?」

驚いてチャンミンを見たけれど
チャンミンも予想がつかなかったのか首を傾げてしまう。

「俺がなに?」
「うん……まぁ確認っていうか。もう一度ここで聞いておこうかと思っているんだけどな?……お前俺の元でこの先まだ暫くいるか?この計画のまま行けば、この先10年近くチャンミンのトコには移れない。下手したら一生俺の元に在籍しているかもしれない」

「…あ」

そういうことか。

そうだよね。
普通に考えればそうだよな。

俺はスケジュールが書かれた紙に視線を落とし
分かる単語も分からない計画も目で追ってみる。


「そのかわり仕事のスキルやノウハウは俺が叩き込むから保証する。……なんとなく感じているだろうけれど、将来俺はお前がカナヤみたいになってほしいと思っているんだ。カナヤはチャンミンの会社にいるけれど実際は………まぁ…」

口の端を引き上げて椅子の背もたれに腕を掛け横にいるカナヤさんを見る。

「確実にこき使われてますね。あんまりおススメしません」
「うわっカナヤひどい」
「なんなら来月からこっちに来てもいいんじゃないですか?ユノ。私がなんでも教えますよ」
「なんでそんなに不機嫌なん……いや……怒るなって…本当に悪かった」

ミルが苦笑いして手を合わせると、カナヤさんは大きくため息をついて俺を見た。


「この先ミルが狙っているのは私の情報や知識でしょう。ひいてはチャンミンの会社」

驚くようなことを平気で口にしてまたため息をつく。

「だけどこれは逆も言えるんです。単純に今私が本気を出せばミルの会社の根幹を揺らがせるぐらいの事は出来ます。それぐらいの事に私は手を出している。これは親族経営の二社だからできるのですが…それはさておき……ユノはこの先そんな事をやらされる事になる」

俺を見るカナヤさんの瞳が
二日酔いなんて揺らいだ光が消えて暗く沈む。

この人の本気は本当に怖くて
鳩尾がぞくぞくと総毛立つ。
そんな空気を作れるこの人が俺は好きだし憧れもする。

「ユノが私の元に来るなら……ここでチャンミンの会社に移れば普通に大学卒業後一会社員として働き、ゆくゆくはリンやチャンミンの元で仕事を出来るように道を作っておきます。いや、私が作らなくてもあなたが大きなミスをしなければ奥様もいますしそうなるでしょう…」


「ねぇ…」


カナヤさんの言葉の切りぎわに横から声がした。

それから視界の隅に動く手が見えて
用紙を掴む。

「全てを今ここでユノに決めろっていうの?」

急に入ってきたチャンミンの声にハッと意識が戻ったような感覚になる。

「ユノはミルのとこに行ってまだそんなに経ってもいないのに、二人は急がせ過ぎだよ。暇なんだね?こんな計画をお酒飲んでヘラヘラ立てて。ユノと僕にこの先の10年後?20年後?」

冷めた視線を二人に向け
チャンミンがはぁ…って背凭れに体を預ける。

「そこはまだ先でもいいんじゃない?もう暫く二人の酒の肴にしていれば?それに……そもそもここにはリンがいない。将来社長になる人がこの場にいないのに話を決めるのはおかしいでしょ?20年後は僕達が主導権を握っているかもしれないのに。馬鹿にしないで貰いたいんだけど」

緩く頭を傾げそう言った後は
暫く室内の空気が止まったように沈黙した。




……………いや……もう…なんていうか。


さっきから全身波のように総毛立って
ピリピリと痛いぐらいに俺の皮膚を撫でるから

「はははっ…」

思わず乾いた笑いが出てしまう。



俺、今なんてトコにいるんだろう。


あの夕方の教室でチャンミンと出会った時
想像もしていなかった世界。

ワクワクして身震いがする。


「みんな……あー……まぁ…さ…」

こんな時どういう風に話を進めるのか
どんな声色で切り出すのか。
全く浮かばないし分からない俺はヘラヘラと首の後ろをかいて身を乗り出した。


「うん……そうだな。俺もチャンミンの言っていることは正しいと思うよ。この時代何が起こるかわからないからね。……だけど長期の計画も大事。それも分かる。……みんな凄いな、俺とは違う次元に生きているみたい。…じゃあ先に結論から言うけど…俺の決めた選択はね…」

3人の視線を痛いほど感じ、もう内心はしゃぎたいぐらい楽しい。
世界にも名だたる企業のこんな人達に期待されている俺って、凄くない?
あードンヘにドヤ顔で見せつけたい。

「俺は…前も言ったけど自分が納得できるまでミルの所にいる。でも今から将来そんな会社を裏で動かすとか支えるなんて気負うつもりはないよ。そうだな…チャンミンの会社に今行かれたら困るってミルが言うぐらいに。カナヤさんがどうしても俺が欲しいってミルに喧嘩ふっかけるぐらい成長する迄頑張るつもり」

ミルの瞳が丸くなるのは見えたけど
この際無視しておこう。

「…でも楽しんで仕事はやりたいなぁ……嫌になったら転職も考えるぐらいがいい…俺は何度か言っているけど普通の超一般人なんだよね。それを変えるつもりは今後もないから、違う世界のみんなは変な期待はしないでね。でも精一杯頑張るよ……それでいい?」



「……ミル様…ほら言ったでしょうが」

「うるせえ。こんな時にだけ様付けんな」

ボソッと呟いた声が沈んだ空気を変えて
カナヤさんが半眼ではすに見たミルがこれ以上無いぐらい顔をしかめたから、堪えきれずに笑ってしまう。

「あのさ…俺がミルの希望に応えられるかは暫く分からないけど、……その前にお腹減って頭回らないからそんな人生の選択したく無いんだけどなぁ…で、いつくんの?ご飯」

「あ、そうですね」とカナヤさんが顔をあげたら
タイミングよくルームサービス来室の音が鳴る。

「すみません…今セッティングを…」
「ああ俺が行くよ、座ってな」

腰を浮かせた肩をミルか叩いて立ち上がったから、カナヤさんは大きく息を吐いて座り直した。

「僕もお腹すいた。カナヤさんお水飲む?顔色イマイチだね…」
「すみませんチャンミン…」

少し姿勢を崩して天井を仰ぐカナヤさんは思ったより辛そうで、さっきの怖さが嘘みたいだ。

「どれだけ飲むとそうなるの?俺カナヤさん強い印象しかないんだけど…」
「ここ二日ほど忙しくて睡眠が足らなくて……仕事を押し付けたミルは昨日酔っ払ってワイン開けまくるし…」
「え、ワイン風呂って本当なの?」
「昨日の夜部屋の奥に沢山あったでしょ?あれを馬鹿があけたんですよ。安いワインを入れた時は放っておいたのですが、流石に一本二十数万のを何本も入れ始めたので……」
「え」
「殴って寝かせました」
「あははははははは」
「でも気がついたら栓を抜いてしまったボトルがいくつも浴室にあってもう栓がどれだか。……しょうがないので高いのだけ何本か飲みながら風呂掃除をしていたんですがいつの間にか朝になってて…匂いもキツイし…なかなか終わらず…」
「……」


……ホントこの人達次元が違うや。


ってかお風呂掃除したの?
なんで?道具はどこから?
もうその前に相当酔っ払ってたんじゃないのこれ。

……なんて不機嫌真っ只中のこの人に言えない。


「はい持ってきたよお水。じゃあ残ってたワイン飲んだのと匂いにも当てられたんでしょ?」
「はい…ありがとうございます」

「おまたせー!飯だめしっ美味そうだ」

ルームサービスを従えてミルの上機嫌な声が聞こえたから、チャンミンとため息をつき3人でテーブルを離れた。


「カナヤさん横になる?俺ミルの相手しとくよ。チャンミンもいるし」
「うん、そうしなよ。僕が最悪殴っとくから…あーちょっかいかけてるから怒ってくるね」
「そうしていただけたら助かります…」

苦笑したカナヤさんはチャンミンとミルに目を向けた後
俺と目が合うとなぜかそっと背中に手を添えてきた。


「……ユノ…本当にあなたと出会えた事をチャンミンに感謝しないといけませんね」
「え?…あ、いや…」
「あなたはあなたのまま、ずっとこのままでいて下さい。私はこの先惚れているあなたに一番心血を注ごうかと思っているので…何事も遠慮せずに…」
「は?」
「おじさんは頭が硬くなって本当に嫌ですね…可愛いとこもあるんですが……。ミルやチャンミンが嫌になったらいつでも言って下さい。それでは私はお言葉に甘えて横にならせてもらいます」

カナヤさんはニヤリと笑うと背中をぽんぽんと二回叩いてそばを離れた。







「さっきカナヤさんとなにイチャついていたの?」
「は?!」

ホテルを出た俺の前でチャンミンが大きく伸びををしてそんな事を言う。

「なんかさぁ…カナヤさん変な事言い寄ってなかった?そんな表情だったけど。腰に手を回してさ」
「お前が何言っているか分からない」

……それ以上にその洞察力が分からない。怖い。

惚れただのなんだのさっきのことを言ったらどんな事が起こるのか、想像もしたくないな。


「うん、チャンミンを宜しくねって」
「噓だぁ」
「噓じゃないよ、そういえば思ったんだけどあの二人仲が良いよね」

慌てて変えた話題にチャンミンが緩く頭を傾げた。

「カナヤさんとミル?」
「そう。始めは仕事上の付き合いだった気がしてたんだけど」
「この前僕さぁ、二人は付き合ってるの?って聞いたんだけど」
「えええっ?!」
「二人に爆笑された。でも怪しいよね」
「よく聞けたなお前」
「えーっだってなんだかんだ言って僕達はあの二人の掌の上でいいように遊ばれているじゃない?そこまで出来るってよほどお互い信頼して仲良くないとさぁ…」
「で、付き合ってるまで飛躍ね」
「カナヤさんが申し訳ないんですけど二人共恋人がいるんですよって…」
「えええええええっ!!!マジでっ?!恋人いるの?まじかっ!!」

公道なのもぶっ飛んで叫んだ俺の横で
「でもね」って
チャンミンは唇に指先を当てて何か考えるように宙を見る。

「……でもねあの二人恋人いるのならいつ会っているんだろうってぐらい忙しいよ。だって仕事が趣味みたいな二人だし、今回みたいに泊まり込みでよく企画作ってるよ。あの時僕も時間がなくてそれ以上突っ込まなかったんだけど、恋人ってお互いなんじゃないかなぁって」
「……あーーまぁ…そうも言えるかな?」
「だったら面白いと思わない?!」
「結局そこか」
「今度リンとドンヘ脅して探らせようかな」

「……はぁ……お前…暇か」
困ったやつ。

じゃあちょっとお灸な。

そう思ってチャンミンの手を繋ぎ

「カナヤさんさっき俺に惚れたって言ってきたけど?じゃあこれは浮気かな?」

調子に乗ってぶんぶん手を振りながら、満面の笑みで聞いてみた俺が
その日一日、最悪だったのは言うまでもない。









(Fin)


-------------------------
と言うことでバニラアイスでした。
いかがでしたか?

バニラは本当に沢山の人に長く愛されているお話。
ほんとにここのメンバーは幸せ者達です。
今もこんな具合にあーだこーだやっていますがみんな元気です。
今回のお話でどこかちょっとでも「あははヾ(≧▽≦)ノ」って思って貰えたら幸せ♡


それでは次は年末のご挨拶の雑談。明日予定。
京セラの募集も始めます。
今回は二週間に渡りありがとうございました。



読んで貰えて幸せ♡ありがとうございます。
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- 5 Comments

くみちゃん  

HAHAHA(・∀・)バニラの皆が元気で嬉しい(๑•̀ㅂ•́)و✧グッ!かなやさんの爆弾発言!!ユノに惚れてたんだねʬʬʬめっちゃ(((๑´ㅂ`) ʬʬʬウケる~かなやさんがユノについてくれたら鬼に金棒だね(๑•̀ㅂ•́)و✧グッ!ミルもなんだかんだ良い奴ってか変な奴だけどあんなに暗かったチャンミンがここまで変わったのはここにいる皆んなのお陰だから。あっここにいないけどドンヘもね(๑•̀ㅂ•́)و✧グッ
くるりんさんの「風のかけら」は仲間うちで人気あるんですよ(ΦωΦ)フフフ…d(>ω<。)ネッ!!mamさん(笑)

2018/12/28 (Fri) 20:23 | REPLY |   

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2018/12/28 (Fri) 20:28 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

く*ちゃんさま

お付き合いありがとうございましたヾ(≧▽≦)ノ
カナヤさん実はずっとユノ好きです。最初にチャンミンの家の玄関で会った時から(笑)
そう、今回一番はチャンミンが凄く変わったこと!

あーーーーーーーーmamの名前がこんなとこに(/・ω・)/
どんな話するんだろう(;´Д`)こんどこそっと遣り取り覗きたい(笑)

2018/12/29 (Sat) 20:16 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

mi*iさま

読んで頂きありがとうございました!
この二人至ってノーマルなんです。残念ながらw
あー冗談半分でミルに襲わせてみようかな?ボコボコにされるだろうけど( ̄▽ ̄)
って思って曖昧にしたんだけど、思ったよりあれだったなと反省中…orz

あ、ツイのそうなんですね!!
私のオタクBL話垂れ流しなんですけど大丈夫かな;つД`)
こちらこそ、これからもよろしくお願いしますm(__)m

2018/12/29 (Sat) 20:23 | REPLY |   

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2019/01/03 (Thu) 21:39 | REPLY |   

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