All Mine 「ピーチティー」 16


(Yunho)








「……馬鹿だろ…俺」

震えた息が白く立ち上がった口元を興奮が冷めやらぬ手で押さえつける。

あんなにいい雰囲気だったのに。
酔いなんか一発で吹っ飛んだ。

なにやってんだ。
あり得ない。
何言ってんだ。

これまでそっと作ってきたものをぶっ壊して。


…………知ってんじゃんか。チャンミンの気持ち。

そんなこと望んでないって。
以前あいつの望んだ関係を知って、それでいいって決めたはずなのに。

ほんとさっきの俺は

「……馬鹿すぎる…」

途轍も無い後悔の波に襲われ
泣きたくないから必死で堪え
鼻水が垂れそうで大きく啜ったら鼻の奥が痛い。


なにしたかったんだか。
自分が信じられないし、呆れる。
俺のこと好きなんだろって?
気を許してくれる関係になったら
じゃあそんな事も再び許してくれるかなって?


あのまま勢いに任せて抱いていたら。

俺たちの関係は終わっていたよな。
…ってか続けようが無い。

忘れてっていう忘れられない出来事を作ったら

「……」

……もう…作っちゃったけどな。

ため息をついたらやっぱり鼻が垂れそうで、もう一度啜った。


俺どーしよーもねー奴。
あの焼肉の時に出会った馬鹿とレベルが一緒じゃないのか。
チャンミンの色んなことを知ってる上で、嫌がる事をした。



駄目だって抵抗したやつに

……あんな事口にさせて。

元サヤなんて寝惚けた事を考えていた時からすでに俺は自己中極まりなかったんだ。




「………………はぁ」

もうため息が止まらない。



慌てて出てきちゃったけれど。
もう今更で。
戻って何言ってもワザとらし過ぎて言い訳も誤魔化すこともできないし。


多分


……この先もう会ってくれないだろうな。



自分でしでかした事が情けなくて
絶え間ない後悔に押し潰されそうだけど。

全て原因が自分だから。


…出ていけって言われたらタクシーか。
駅の前に漫喫ってあったかな。

女々しく泣かないでチャンミンの元は去らないとな。
そんな決心だけはして歩き出した。






チャンミンの家から数分のところにあるコンビニは飲みたかったパックの紅茶がそもそも無くて。ピーチ味のそれがどうしても飲みたかったからそのまま店を出た。

次のコンビニは少し先だけれど視界にもう見えていて、ジャケットに両手を突っ込んで黙々と歩く。


これ買ってどうすんだろうな。
飲みたいのは本当だけれどあの部屋に戻って二人仲良く飲むのか?

無理だろ?


でも買ってくるって出てきたし


……戻ってどんな態度とればいいのか。


帰ってチャンミンがなんて言うのか。
それで決めようか。

アイツに押し付けんのは狡いかな。


……狡いか。

でも自分から喋ったらなんか泣きそうで。


深く息を吐いて背中を丸めた。



駅前に行くまでに確かコンビニは3件。
駅へ着けば北口と南口にプラス2件もある。
短い範囲にメジャーなコンビニが揃っているからどこかにはありそうだ。
そういえば駅の反対側には24時間やっている大きなスーパーもあるって言っていた。

便利だな、この街。
もうこの先来ない場所の
どうでもいい事を思う。


終電まではまだ結構あるから、メイン通りも裏通りもまばらではあったけれど人がいて。
俺はこの反対側にも一軒あったのを思い出して裏通りに入る。

飲屋街。

あ、失敗した。

曲がった瞬間見知った大きな提灯が見えて
チャンミンと再会した店があるのに気づきそんな事を思う。


あの時の俺はチャンミンに会えたことがただ嬉しくて。
必死で次へ繋げるために無理矢理に近い形で連絡先を奪った。

それから何度も飲んで。
家に上がって、泊まることもして。
ついこの前は遊びにも行った。


それまでにチャンミンの言葉や態度の端々から感じた気持ちを俺は大事にして、この先も続けて行けたらって思ったのに。


……それがつい

…じゃない。

あの時一瞬でも、そうしたいって。


これまで俺が誘えば嫌々でも会ってくれたのは、チャンミンの優しさだと思っていると同時に。

俺は頭のどこかで

あんな別れ方をした俺に、多分どこか後ろめたさを持っているんじゃないかって図々しく思っていた気がする。

そんな事には気づいていません。なんて、都合の悪い事は見ないふりして作り上げた関係が思ったよりも順調で、たまに感じる俺を好きって思うような出来事に浮かれ、馬鹿なことをした。

何度も時間を過ごせばどんな人でも多少は情が入って、よっぽどじゃなければ愛情では無い好意という色になるんだ。俺はチャンミンの見せた色を勝手に着色したんだ。

自惚れが驕りに変わったら終わり。
こんなの仕事も恋愛も人生も全部一緒で。


「……はぁ…無い」


次のコンビニの棚に違うシリーズは並んでいたのにピーチは無くて。
ますます飲みたくなってしまう。

それから
余りにも無いから
見つけて家に戻ったら、もしかしたら大人なチャンミンがまたいつもの関係にひきもどしてくれている。なんて間抜けな考えが浮かぶ。


だから俺は頑張って歩いた。

全部のコンビニ
それから駅の向こうのスーパーまで。


全てのお店を覗いたのに。


結局欲しかった銘柄のピーチ味は見つからなかった。










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4 Comments

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2019/03/18 (Mon) 22:15 | REPLY |   

K  

あーユノもチャンミンも分かってる。自分の気持ちより相手の気持ちのが大事で。でも気持ちが溢れちゃったんだよねぇ。それだけならいんだけど、なにしろチャンミンはユノのお母さんに言われた言葉があるから…。ユノがなによりも大事だから身を引いたんだもんね。その事実を知らないユノ…。知ったら全部取り払って突き進めるのにね、ユノがチャンミンの不安は全部取り除いてくれるのに。ユノがピーチティー探し求めてる間、チャンミンはどんな気持ちで何して何考えてる⁇この面倒くさい2人のウダウダ辛気くさい関係、永遠に続いて欲しい(笑笑)

2019/03/18 (Mon) 23:31 | REPLY |   

くるりん@  

Re: くぅー

tonton*ambさま

ありがとうございまーす( *´艸`)
私と萌えドコ一緒で嬉しいです♡
迷惑じゃないいです。タメ口も平気ですよ(*´ω`*)

そうこの話ハピエンの予定なんですけどね
このウダウダが書きたいがための話なんでこんなに面倒くさい流れになっているという。
よかったらまたお付き合いください♡

2019/03/19 (Tue) 19:23 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

Kさま

おおおおおっ
私のお話しっかり把握してくれてて嬉しい(ノД`)・゜・。
そう。ユノが知ったらこの話終わり(笑)そのシーンはもう頭にあって、そこ書いたらもうラストに向かうつもりです。
…なんだけど、この微妙な関係が好きでねーw無理矢理引き延ばしています(笑)
なるべく続けたいけどネタ的にドコ迄妄想膨らむか( ̄▽ ̄)

2019/03/19 (Tue) 19:28 | REPLY |   

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