MOFU 「履行・序」5


(Changmin)







「大丈夫ですかチャンミン様っ、何処か痛い所とかありませんか?頭をぶつけたんですよね?」
「平気だよ。殴られたりしたわけでもないからね。お風呂入ったし」
ユンホさんのマンションに戻ってきて適当な理由付けで速攻お風呂を借り身体を洗いまくり、さっきの嫌な記憶消しに努めた。
ザンが何も口にしなかったから僕は猫と呼ばれたそいつに襲われたという事実だけで、押し倒されて凌辱を受けたなんてわざわざ言うもんでもない。そんなことをしたらマンションに帰ってきて再び飛び出したネンさんの耳と尾っぽが悲しく垂れてしまいそうだ。

それにしてもあいつはなんだったのだろう。猫と呼ばれていたけれど、やっぱり人間に見えた。普通では嗅げない匂いを感じ、それがユンホさんのモノだと分かっていたのに襲ってきた。
朝、この匂いがあればユンホさんは大丈夫だと言っていた。王子のマーキングがされた僕に寄る者がいないって事だろう。でもそれはユンホさんの周りの話だけなのかもしれない。
「……猫と呼ばれる奴は俺たちと同じ種のスパイや暗殺者みたいなものだ」
僕の黙考に、離れたソファの隅で腕を組んでいたザンが口を開く。
「そっか……だからユンホさんの匂いが分かってた。いい匂いだって」
「いい匂い?それはお前だ自覚しろ馬鹿。ユノ様の匂いもするがお前がいい匂いなんだ。分かんないのかよ。それなのにノコノコほっつき歩きやがっ……」
「チャンミンっ」
ザンの皮肉たっぷりの叱責を破るように勢いよくリビングのドアが開かれ、そこにはスマホで見せてもらったものに似た黒の服に身を包んだユンホさんが入ってきた。
「かっ……」
……こいいと無意識に言いそうになって、慌てて「お帰りなさい」と言いなおす。
早々に拝めるなんて、なんてラッキー。あの画像は全身黒だったけれど、今日はインナーに白を挟み上着の刺繍も大人しめだ。でも今日はシルクの金のマフラーを巻き……
「チャンミン大丈夫だったか?!」
呑気に眼福に浸っていた僕の目の前に真剣な顔でユンホさんは来ると、肩に手を置いて片膝をつき僕を覗き込むように顔を寄せる。僕を写す瞳の中の縦筋が眇められ、心なしか潤んだ色が見えたから慌てて頷いた。
「はい、ザンに助けて貰いました」
酔っ払いのお客さんから頬にチュウなんてチャンスニの時に何度もある。
それに襲われたあの時の事はあんまり思い出したくないというのが正直なところで。結果助けてもらったし、無事何も無かったからいいやと思う気持ちが強くて僕はユンホさんに笑顔を向けた。
「怪我もありませんし……これといって……」
問題ありませんっと口にした僕に何故かユンホさんは思いっきり眉間に皺を寄せ、その上半身が素早く近付いて僕の首元をスンッと嗅ぐ。それから顔を上げると僅かに瞳を見開き、僕の腕をグッと掴んで無理やり立たせた。
「ちっ、ちょっと?!ユンホさん?」
片腕を締め上げる痛みに顔を歪めたのに、それでも無言で引きずりながら歩き出した横顔は険しい。
慄いて助けを求めるように双子を見たら、ネンさんは主人の名を呼び驚きの表情で、ザンはフッと顔を逸らし無表情になるけれど、いずれもなにか行動に移してくれそうも無く、どうしていいか分からないまま狼狽え、呼んでも振り返らない背中に目を向けた。

「ユンホさんっ!」
僕は文字通り引き摺られながらリビングを出て廊下を歩かされ、あまりの腕の痛さに抗うことを諦めて横に並ぶと、苛立ちを顔に浮かばせたユンホさんに声をかけた。こちらを見てくれずただ唇を噛み締めるだけで、ベッドルームのドアを開けると僕を一際力強く引き込んで、そのままベッドまで大股で歩み寄り僕をその上へ押し倒す。

されるがまま大きくスプリングに弾み、ドアを閉め戻ってきたユンホさんの顔を驚愕に見上げると、漆黒の瞳が再び歪んで勢いよく覆い被さってきた。
「どうしたんですか?!ユンホさん?」
訳が分からず仰向けのまま裏返る声を張り上げたら、僕の頭の横に両手を突いたユンホさんがぐっと顔を寄せる。潤んだ瞳が赤く見えるのは気のせいか。歪めた表情は痛みを感じた様に辛そうだ。

僕から一度顔を逸らせて何かを堪える様に深く息を吐き出すと、首に巻かれたストールをシュルッと音をたたせ床に投げ捨てた。

「ユンホさん?」

「…………なにをされた?」

そう口にしたあと赤く濡れた舌が見え、震える息遣いと共に唇が僕の頬に触れた。
それから続けて生温く滑る熱。
クチュッと音を立ててユンホさんの熱い舌が舐め上げた頬に冷気を感じ思わず息を飲む。

「……詳しく……全部教えて欲しい」

耳元でそう囁くと耳朶を柔く食まれ、僕は全身が痛く感じる程総毛立った。








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明日から数日は読む場所、背後を気にしてね( *´艸`)

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12 Comments

くみちゃん  

きゃあああああ(*⊃ω⊂*)「詳しく全部教えて欲しい‥」って‥‥‥(:.;゜;Д;゜;.:)ハァハァチャンミンお仕置きされるぅぅぅぅ(:.;゜;Д;゜;.:)ハァハァあーーやばい!明日が楽しみすぎるー❤

2019/10/09 (Wed) 20:44 | REPLY |   

kuma  

ユンホさん怒ってる(きゃっ)♪
怒った顔好きよ〜(ワクワク)
ユンホさんたらもうすっかり本気モードですな…
リアルでも、もしもチャンミンに何かあったら許さないんだろうなぁ。ああ萌える(笑)

2019/10/09 (Wed) 21:13 | REPLY |   

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2019/10/09 (Wed) 22:07 | REPLY |   

K  

「…なにをされた?」て聞かれるのゾクっとするぅ♡もっと際どくやられとけば ユノさんが狂ったように嫉妬しそうだから くるりんさん、もっとチャンミンやっちゃってー笑 ザンのユノさんへの想いは恋心入ってる⁇

2019/10/09 (Wed) 22:59 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

く*ちゃんさま

全部教えたので……( *´艸`)♡

2019/10/10 (Thu) 14:20 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

k*maさま

そうですオコです(笑)
リアルもガチで怒って守るよねユノは( *´艸`)

2019/10/10 (Thu) 14:23 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

チャ*1011さま

チャンミンしっかりバレました(笑)
明日は鍵かかってないのですがもう大分水っぽいですwww
私以前電車の座席の一番隅で普通の場面だけどお話書いていたら、ドア横で立っていた女の子に上から思いっきり読まれていたことがあったわー( ̄▽ ̄)←書くな。iPadだから読めちゃうのよね。エッチじゃなくてよかったけど(笑)

2019/10/10 (Thu) 14:30 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

Kさま

今回のお話は最後まで読むと分かるのですが、ユノ様結構色々嫉妬するんですよ( *´艸`)
うーん、ザンはねービミョーなとこかなぁ。
以前婚約者問題でチャンミンと喧嘩したときあんな反応したしねー( ̄▽ ̄)

2019/10/10 (Thu) 14:33 | REPLY |   

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2019/10/13 (Sun) 23:23 | REPLY |   

くるりん@  

Re: ドキドキ

えん*ぇるさま

どんなに洗ってもユノは知っているもの以外の香りは分かるようです(*ノωノ)しかも舐められたから濃厚だしね。

猫さんあの世に葬り去られました(笑)
結構この世界殺伐として血なまぐさいこと一杯やってます。
ユノの王位は第二位なんでこれまた微妙な絡まりがある……はず。何となくしかまだ考えてないですがw←おい

2019/10/14 (Mon) 19:35 | REPLY |   

723621mam  

突然ここにコメ?
そうなの。

え?
詳しく?全部?
それどんなプレイ?

って超、悶えたので。


だったら読んだときにすぐ書き込めだよね。
スミマセン。。。
ホント毎晩悶えさせていただきました。
ユノを見るとモフモフにしか見えない症候群中のmamでした。

2019/10/19 (Sat) 18:09 | REPLY |   

くるりん@  

Re: タイトルなし

723621mamさま

最後まで付き合ってくれてありがとねー( *´艸`)

多分組み敷かれた下でチャンミンが小さな声で恐る恐る報告して、最後まで聞き終えてから無言で全部、しかもしつこく同じことしたと思います(笑)

2019/10/19 (Sat) 20:54 | REPLY |   

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